情報は正しく

 近年、災害などが発生すると、SNS上でデマが拡散されることが多い。「何かすごいことが起こっている」と確かめもせずにリポストなどされてしまうことが大きな要因だろうが、一部だけを切り取ったり、事実でないことを投稿して注目を集める手法が取られている。また、ジブリは常識の範囲内でアニメのシーンを使用しても構わないと素材提供を行っているが、そういったケース以外で無断で映画やアニメのシーンを切り取り加工し、閲覧数を稼ぐ行為も横行している。

 スマホの普及により、誰でも簡単に画像を加工できるようになり、タレントや一般の方も自分をよく見せようと画像加工をしてアップすることが多い。また、生成系AIが作成した画像についても、実際には存在しないものがあたかも現実のように見える写真を簡単に作り出せる。
このような加工やAIそのものが悪いわけではないが、使う側も見る側も、正しい使い方・判断が必要だと思っている。

 競馬の世界でも同様で、JRAはレース映像の無断使用を認めていない。競馬場に行って自分のスマホで撮影したもので、他の観客への配慮がなされていれば問題ないだろうが、調教映像やパドック映像、JRAの公式サイトやグリーンチャンネル、レーシングビューアーで放送された映像は無断で使用できない。それにもかかわらず、SNSではこれらの映像が平然とアップされている。
調教タイムについても同様で、JRAの公式サイトで公開されているものであればまだしも、有料サイトや競馬専門紙のデータの転載が多く見られる。栗東や美浦のトレセンで自身でストップウォッチを使って計測したものであれば問題ないだろうが、一般の人はトレセンに入ることができないため、あり得ない話だ。視聴者が「無料で見られてラッキー」と感じているかもしれないが、このような投稿者は排除されるべきだと思う。
規模の違いはあれど、無断で漫画を掲載して問題となった漫画村事件と大差ない。一部YouTuberでも無断でレース映像を使用していたが、良くない事だとしてレース映像を使っていた動画を全て削除し、以後権利的に問題ない動画がアップする動きもあったりした。
 JRAもジブリのように、レース動画を自由に使わせてくれば良いのだろうが、レーシングビュワーで実際に有料配信していたり、騎手・調教師など競馬関係者への誹謗中傷がある事を考えると、ジブリのようには行かないという事情もあるのだろう。

 予想に話を戻すと、競馬予想の界隈でも画像の加工や無断使用が平気で行われている。実際にはその馬券を購入していなくても、PAT画面を加工して当たり馬券のスクリーンショットを簡単に作ることができる。また、的中していたとしても金額は100円の払い戻しで、金額を桁上げして見せるのはPCを使えば数秒で可能だ。
そうした加工画像をSNSやn○teにアップして注目を集める手法が多用されている。また、n○teでは、有料で予想を販売した後、結果が外れると簡単に下げて(非表示にして)しまうケースが見られる。実際に購入した人がいても、購入者には見えているので実際には削除されていることに気づきづらい。適当に数を出して、たまたま当たったものだけ残しておけば、当たっているかのように偽装することができるのだ。
こういったことはかつてスポーツ新聞の広告に掲載された予想会社も行っていたが、それと同様の手法が今もネット上で続けられている。スポーツ新聞に的中実績として広告を出す場合、実際に数週間前に予想を提供し、広告掲載日に当たっている分のみ掲載と一定の条件をクリアしたモノだけが掲載されていた。(現在も同じ方法かは不明)

 データについても、「このデータが良い」というものを目にするが、都合の良い部分だけを切り取って提示している場合もあり、本質を見極める必要があると思う。
たとえば、ディープインパクト産駒の全成績や芝/ダート別の成績を見てみると、

勝率連対率複勝率単勝回収値複勝回収値
全成績12.4%23.2%32.9%73.0円77.0円
13.0%24.3%34.3%73.8円77.8円
ダート8.3%15.9%24.0%68.9円72.5円
 ディープインパクト産駒は芝で優れた成績を残しているが、ダートでは成績が落ちる。ダートでの産駒重賞成績は、36回の出走で2011年のレパードSを勝ったボレアスと、2018年の京都で行われたJBCレディスクラシックを勝ったアンジュデジールの2頭のみである。しかし、ダートの複勝率24.0%だけを見れば、他の種牡馬の成績より良い場合もあり、「ダート成績が良いので狙える」と言うことも可能だ。
言いたいのは、データに関しても1つの指標だけで判断せず、多角的にデータを見て本当に良いのか悪いのかを判断する必要があるということだ。

 いずれにしても、その情報(データ)が本当に正しいか、見極める力も必要である。

ちなみに、こちらは画像生成AIに作ってもらった画像で、実在しないレースのゴール前で、生成AIはこのレベルで画像が作れるようになっている。騎手の腕にゼッケンがついてたり、馬名が適当だけど…。数文字の文字を打てば、簡単に作ってくれる。誰でも簡単にできるようになってしまった。