好メンバーのレース

JRAの「特別レース」と条件戦について

JRAのレースにおいて「特別レース」とは、オープンクラス以上のレース(オープン、重賞[G1・G2・G3])や、条件戦(1勝クラス、2勝クラス、3勝クラス)の中でも、レース名がついているレースを指します。条件戦においても「○○特別」や「○○ステークス」のように名前のついたレースは、名前のないレース(例:3歳以上2勝クラスなど)と比べて賞金が少し高く設定されています。
例)2024年11月30日(土)

レース1着賞金2着賞金3着賞金4着賞金5着賞金
中山12R 3歳以上2勝クラス1140万円460万円290万円170万円114万円
京都12R 3歳以上2勝クラス
中山10R 鹿島特別1550万円650万円390万円230万円155万円
中京9R 犬山特別
中京10R 中京日経賞
上記はいずれも「3歳以上2勝クラス」のレースですが、レース名がついている方が賞金が高くなっています。馬主の立場からすれば、同じ条件であれば少しでも賞金の高い方を選びたいと考えるのが自然です。そのため、特別レースの方が比較的多くのメンバーが集まりやすい傾向があります。

日曜日の夕方に発表される「特別登録」は、その週や翌週以降に行われる「特別レース」への出走希望馬の一覧です。出走希望馬が多いため、事前に登録・公開されます。その後、水曜日には「想定」と呼ばれるリストが発表され、競馬新聞やスポーツ新聞の記者が厩舎(調教師)に取材して、週末にどの馬がどのレースに出走予定かをまとめたものが共有されます。そして、木曜日に出馬登録を行う流れになります。

強い馬が登録されている場合、それを避けて別のレースに出走させる選択も可能ですが、馬の出来や次走必ず出走できるという保証もないので、機会を逃すことになる場合もあります。また、いずれどこかで戦う相手であれば、早めに戦っておくという判断もできます。

「伝説の新馬戦」と条件戦の好メンバー

 JRAが馬券の販売を目的に出走馬を調整しているわけではなく、あくまでも馬主や調教師が出走レースを決定しています。その結果、後にG1を制する馬が複数出走したレースが「伝説の新馬戦」と呼ばれることがあります。有名な例として、2008年10月26日の京都5Rがあります。

着順馬名
1着ローズキングダム後にG1を2勝を含む重賞5勝
2着ヴィクトワールピサ後にG1を3勝を含む重賞6勝
3着モーニングフェイス全3勝・3勝クラス止まり
4着ドリームマジシャンJRA3勝
5着ラブファイナル
6着スーサンキャプテン
7着テイエムスプリング
8着シルクコスモス
9着オファニエル
10着ネオペンドラゴン
11着ドリームメーカー
このレースでは、後にG1を勝つ2頭が新馬戦で1着・2着となり、「伝説の新馬戦」として知られるようになりました。その他、トウショウボーイ・ブエナビスタが勝った新馬戦も有名です。ただし、これらのレースは馬券検討に直接役立つものではありません。

一方で、条件戦ではこれに近いことがしばしば起こります。たとえば、2024年10月19日の東京1Rでアメリカンビーチが勝利した2歳未勝利戦では、以下の画像の通り、出走した全馬が次走で3着以内に入る結果となっています。
このレース出身馬が将来重賞で活躍するかは別として、馬券的観点では、たとえば6着のレイオーバーや8着のテルユアワールドが次走で狙えるという判断ができます。ただし、このレースはダート1400mだったので、たとえば芝2000mのような異なる条件で出走してきた場合には安易に狙えないこともあります。同じような条件であれば上位争いが期待できるでしょう。

また、2024年6月23日の京都8Rについても、以下の画像のように、特定の馬(ナムラエイハブなど)が次走以降で上位に来る可能性が高いと予測できます。

 このような好メンバーが揃ったレースは、中央競馬でも地方競馬でも「○○レース出身馬は次走以降好走することが多い」という傾向が見られます。そのため、過去のレースを日々チェックしておくことが重要です。
弱点としては、数頭が次走で好走しないとレースのレベルが高かったかどうかが判断しづらい点があります。しかし、一つの指標として取り入れる価値は十分にあるでしょう。